実質0円が復活したと思ったら、速攻で行政指導

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docomoがこっそり実質0円を復活させたと思ったら、たちまち国に釘を刺されて中止に追い込まれました。そもそもやるなと言われていたことをやったのだから是正して然るべきでしょう。と、杓子定規に考えれば確かにそうなんですが、これが果たしてどうなのだろうという内容です。

そもそも、いったい何に実質0円を復活させたかというと、先日発売されたAppleの新製品、「iPhone SE」についてです。5から6になってボディサイズが大きくなり、その分画面も見やすくなっているはずなのに、なぜ5や5sと同じ大きさの4インチスマホを販売する必要があったのか。ひとつには画面が大きくなったことによる視認性の良さとのトレードオフで、その分だけ操作性が悪くなったというデメリットを抱えていたからでしょう。特に日本の場合は女性のユーザーが多いので、6や6+は片手で操作するには大きすぎるという欠点があります。それもあってか、ほぼ5sと同じボディに、ほぼ最新のテクノロジーを搭載したという、いったい新しいのか古いのかよくわからない位置づけになってしまっているのも確かです。

それともうひとつは、Appleとしても端末価格が高騰している中で、Samsungを始めとするライバル会社のAndroid製品と並べて比較しても、求めやすい価格のものを出したかったから、もしくは出す必要があったからでしょう。

しかし、今までキャリアの2年縛りで契約していた人が、この時期に新しい機種に変更するかと言ったらまずしないでしょうから、こと国内においては、いまだにガラケーを使っている人や旧機種のiPhoneやスマホを使い続けている人たちの買い替え需要を促すことが主目的となるはずです。そうなると当然何かしらの訴求要素は欲しいわけで、それが実質0円復活の動機ともなったのではないかと思います。

それでどう変えたかと言うと、価格そのものは以下の表になります。

MNP/新規/機種変更(Xi→Xi)/
契約変更(FOMA→Xi)
16GB64GB
分割支払金(24回)
(現金販売価格/支払総額)
2,376円/月
(57,024円)
2,916円/月
(69,984円)
月々サポート(24ヶ月)
(割引総額)
1,944円/月
(46,656円)
2,106円/月
(50,544円)
実質負担金(24ヶ月)
(総額)
432円/月
(10,368円)
810円/月
(19,440円)

これだけ見ると、ああそうなのねという内容なんですが、相変わらずキャリアの料金体系のわかりづらさ。3月25日に発表された内容では、2016年5月31日までにFOMAからXiへの契約変更をすると、「月々サポート」の割引額が432円×24カ月(総額10,368円)増額されます。

ですので、その割引額を上の実質負担額からさらに引いた金額はシェアパック10以上/データMパック以上の場合、16GBモデルが0円×24カ月(総額0円)、64GB モデルが378円×24カ月(総額9,072円)となるんです。もうこの辺からよくわからなくなってますね。ただ、ここで重要なのは月々サポートを利用すると、16GBモデルの限られたプランではありますが、いわゆる「実質0円」が復活してしまうということです。

これは実質0円は許さんと言ってきた総務省の御達しに背く形になってしまいます。おそらくそれをどこぞのキャリアがリークしたのか、もしくはチクったのかわかりませんが、それを聞きつけた総務省が、「docomoよ、まかりならんぞ!」と申し付けたわけですね。そうしたらdocomoさんが「ははあー、仰せの通りに」と平身低頭で3日後に訂正したのが次の内容です。

iPhone SEの販売価格(月々サポートの期間限定増額の変更について)

2016年3月25日(2016年3月28日更新)

契約変更(FOMA→Xi)の月々サポートの期間限定増額を9,720円に変更することをお知らせいたします。

ドコモからのお知らせ

25日には割引総額の期間限定増額が10,368円と言っていたものが、3日後には9,720円に減額されたわけです。割引総額の増額を減額とか言われると、もう何がなんだかわからなくなりますが、これによって実質0円は回避されたわけです。

ただこれ、なんの割引増額かというと、上に書いてあるように、”FOMA→Xiへの契約変更の月々サポート”なわけです。つまり、今までdocomoを利用してきた人への割引なんですね。いまだにFOMAを使っているということは、長年docomoを愛用してきた方達向けなんでしょう。

そう考えると、これまでdocomoを継続利用していた人たちにとってはメリットでもあるわけですから、それほど目くじらを立てることでもないようにも思います。と言うよりも、そもそもタスクフォースの目的は継続利用者の不公平感を無くすということだったはずですから、その人達の利益になるプランを潰すということは、いったい総務省は何をしたいのよ?と言いたくなります。

結局この増額が減額されたことによる実質負担額は、16GBモデルが27円×24カ月(総額648円)、64GB モデルが405円×24カ月(総額9,720円)となります。※16GBの場合 (改定前の割引総額)10,368円-(改定後の割引総額)9,720円=648(円)÷24(ヶ月)=(1ヶ月)27円

もう細かすぎてチンプンカンプンの人も多いと思いますが、要は「月々0円のプランはご法度で、27円なら問題なし」ということです。こうなると、いったい何をどこでどうやって線引しているのかさっぱりわかりません。はたしてこんなことが本当に携帯電話料金の適正化に繋がるのだろうかと大いに疑問を持った次第です。皆さんはどうお考えになるでしょうか。

ここで一首。

白河の 清きに魚も住みかねて もとの濁りの 田沼恋しき

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