私のブログでは専ら月額1,000円程度の安いSIMを中心に紹介してきたので、料金は若干高くなるけれども容量は無制限と言うようなサービスに関してはあまり紹介してきませんでした。ひとつには、あまり範囲を広げると格安SIMの範疇がわかりづらくなるということもありますが、もう一つの最大の理由は、私が容量無制限というシステムそのものに懐疑的だからです。そもそも容量を無制限にするのであれば、実行速度を著しく低速にするか、人数を最低限に抑えでもしなければ到底不可能だろうと思うからです。要は高速道路と同じです。
このブログでも最初の方に記していますが、私が最初に契約したDTIのワンコインSIMに関しては、契約者が激増したにも関わらず、その後の帯域増強が追いつかず(実際にしたのかどうかもわかりませんが)、結局使い物にならなかったという苦い経験があります。それと同じ結果が予想できる容量無制限を、どうして積極的に推薦することが出来ましょう。自分で使って納得するか、あるいはすこぶる評判が良いとか企業努力で速度低下を免れているというような様子が見て取れなければ、安心して紹介することも出来ません。そもそも普通に考えても帯域が決まっているのですから、そこに大勢を無理やり詰め込めば、スピードが低下するか、あるいはパケ詰まりを起こすか、はたまたまったく通信できなくなるか、その内のどれかになるのは目に見えています。それを回避する方法は、容量無制限を撤回する外はありません。
そもそもの問題は、制限があるにも関わらず、あたかも制限無しのような表記をしたことだと思います。仮に文面の最後の方で小さく表記してあったとしても、多くの人が誤認するような宣伝の仕方は、信義則に照らしてもやはり間違っていると言わざるを得ないでしょう。
これに関しては、集団訴訟を提起しようという動きもありますから御存知の方も多いと思いますが、よくわからないという方のために、かいつまんで説明いたします。
まず、WiMAXとは何かというと、これはLTEやWi-Fiと同じような通信規格のひとつになります。日本でこの通信技術を利用して事業をしているのは現在UQコミュニケーションズだけなので、国内でWiMAXと言えばUQコミュニケーションズのことだと思って間違いないでしょう。ただし、MVNOと同様に回線を各プロバイダに提供していますので、品質は同じでも契約相手が必ずしもUQコミュニケーションズにはなりません。
今回問題となったのは、先程も少し書きましたが、このWiMAX、現在はWiMAX2+になっていますが、通信速度が下り最大220Mbps、容量無制限で売りだした商品だということです。速さと容量無制限を「ヤ倍速」と「ギガ放題」というコピーで表現していますが、現在は「混雑回避のための速度制限(3日間で3GB以上利用時)があります。」という注意書きが小さくあります。ただ、当初はこの制限は表立って明記されておらず、リンク先に小さく表示されているだけだったため、契約したユーザーからは詐欺ではないかとクレームが噴出しているんですね。
月間容量無制限と3日間で3GB制限は内容的には両立するので、決して矛盾した表現ではないと嘯くことも出来るでしょう。しかし、例えば60分2,000円で食べ放題を謳っている焼き肉のお店が、但し10分間に100グラムまでの制限有りなどと言ったら、一体どこが食べ放題なんだと突っ込まれるのは当然でしょう。
MVNOの月間3GBに慣れている人からすると、3日間で3GBあれば十分だろうと思うかも知れませんが、このWiMAXはスマホ用のデータ通信と言うよりは、ほぼPC用ですから、3GB などはそれこそあっという間に到達してしまうのです。特に自宅に光回線やADSLが引けない地域の人にとってはネットの生命線になっている場合もあるので、それが3日間で3GB(当初は3日間で1GB)制限と突然発表、もしくはそれを知らないまま規制されたのでは、詐欺という言葉も出てきてしまうでしょう。どうやら規制後のスピードは1Mbpsも出てないようなので、今どきのサイトだとちょっと見るのに辛いでしょうね。
上にリンクしたUQコミュニケーションズのお知らせは、利用者にとって到底納得のいくものではないでしょう。集団訴訟を考えている方も、これによって溜飲が下がった感じでもなく、むしろその企業姿勢に対していっそう疑問を感じている人も多いようですから、まだ暫くはゴタゴタが続くと思います。誤解して契約した人の解約手続き等の発表もなされていないので、これから契約を考えている方はよくよく内容を吟味することをお勧めします。
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